束縛アトリビュート

場合によっては、同じ型複数の束縛が必要になることがあります。たとえば、PayPalのクレジットカード決済と Google Checkoutの決済の両方を行いたい場合などです。

束縛アトリビュートの定義

このような場合に備えて、オプションの束縛アトリビュートという束縛が用意されています。このアトリビュートと型を組み合わせることで、束縛を一意に識別します。

束縛アトリビュートの定義

束縛アトリビュートは Qualifier アトリビュートが付与されたPHPのアトリビュートです。

use Ray\Di\Di\Qualifier;

#[Attribute, Qualifier]
final class PayPal
{
}

指定した束縛に依存するには、注入されるパラメータにそのアトリビュートを割り当てます。

public function __construct(
    #[Paypal] private readonly CreditCardProcessorInterface $processor
){}

最後に、そのアトリビュートを使用する束縛を作成します。これはbind() 文のオプションのannotatedWith 節を使用します。

$this->bind(CreditCardProcessorInterface::class)
  ->annotatedWith(PayPal::class)
  ->to(PayPalCreditCardProcessor::class);

#[Named]

Qualifier アトリビュートの最も一般的な使用法は、メソッドの引数に特定のラベルを付けることです。このラベルは、インスタンス化するクラスを正しく選択するために束縛で使用されます。

カスタムのQualifier アトリビュートを作成する他に、Ray.Diには文字列を受け取るビルトインの束縛アトリビュート#[Named] が用意されています。

use Ray\Di\Di\Inject;
use Ray\Di\Di\Named;

public function __construct(
    #[Named('checkout')] private CreditCardProcessorInterface $processor
){}

特定の名前をバインドするには、annotatedWith() メソッドを用いてその文字列を渡します。

$this->bind(CreditCardProcessorInterface::class)
    ->annotatedWith('checkout')
    ->to(CheckoutCreditCardProcessor::class);

パラメータを指定するには、#[Named] アトリビュートを付ける必要があります。

use Ray\Di\Di\Inject;
use Ray\Di\Di\Named;

public function __construct(
    #[Named('checkout')] private CreditCardProcessorInterface $processor,
    #[Named('backup')] private CreditCardProcessorInterface $subProcessor
){}

カスタムインジェクターアトリビュート

通常、セッターインジェクションで束縛アトリビュートを行う時は#[Inject] アトリビュートと束縛アトリビュートの2つが必要です。これをカスタムインジェクターアトリビュートを使って1つにすることができます。

カスタムインジェクターアトリビュートはInjectInterface を実装する必要があります。

use Ray\Di\Di\InjectInterface;
use Ray\Di\Di\Qualifier;

#[Attribute, Qualifier]
final class PaymentProcessorInject implements InjectInterface
{
    public function isOptional()
    {
        return $this->optional;
    }
    
    public function __construct(
        public readonly bool $optional = true
        public readonly string $type;
    ){}
}

このインターフェースでは、isOptional() メソッドの実装が必須です。このメソッドを実行するかどうかは、その束縛が存在するかどうかで決定されます。

これでカスタムインジェクターアトリビュートが作成できたので、任意のメソッドで使用することができます。

#[PaymentProcessorInject(type: 'paypal')]
public setPaymentProcessor(CreditCardProcessorInterface $processor)
{
 ....
}

最後に、新しいアノテーション情報を使って、インターフェースを実装にバインドすることができます。

$this->bind(CreditCardProcessorInterface::class)
    ->annotatedWith(PaymentProcessorInject::class)
    ->toProvider(PaymentProcessorProvider::class);

束縛アノテーション

Ray.DiはPHP7.xのために doctrine/annotation と共に使用できます。アノテーションコードの例は古いREADME(v2.10)をご覧ください。アトリビュートに対する前方互換性のあるアノテーションを作成するには、 カスタムアノテーションクラス を参照してください。

アノテーションは引数に対して適用することができないので、カスタムアノテーションの最初の引数に変数名を指定します。なおメソッドに引数が1つのしかない場合には不要です。

/**
 * @Paypal('processor')
 */
public function setCreditCardProcessor(
	 CreditCardProcessorInterface $processor
   OtherDepedeciyInterface $depedency
){